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(と)東京大学 和文英訳 2001

東京大学 英語 2001年度 〔4〕(B) 英文和訳 解説(消毒薬の概念と信仰)
英文和訳 過去問演習

2001年度 〔4〕(B) 英文和訳(消毒薬の概念と信仰)

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2001年度 〔4〕(B) 問題全文 ▲ TOP
【設問】
次の英文の下線部(1), (2)を和訳せよ。(1)については,it が何を指すか明らかになるように訳すこと。
【和訳(全文の対訳・黄色の下線が下線部)】
実際、西暦1000年の頃には消毒薬という概念はまったく存在しなかった。もし食べ物が皿から落ちた場合、当時のある文献が勧めていたのは、それを拾い上げ、その上で十字を切り、たっぷりと塩をふり、それから食べるということであった。十字を切るという行為は、いわば西暦1000年における消毒薬だったのである。食べ物を床に落とした人は、それを拾って口に運ぶときにある種のリスクを冒していることは自覚していたが、自らの信仰を頼りにしていた。今日、私たちは現代医学に信頼を寄せているが、現代医学が実際にどのように作用しているかについて、自分自身で十分な知識を持っていると言える人は、私たちの間にはほとんどいない。また私たちは、かなり深刻な病気に立ち向かう力が、私たちが「前向きな精神状態」と呼ぶものに左右されうることも承知しているが、これは中世において「信仰」として体験されていたものである。
【英文(クリックで音読)】
Indeed, in the year 1000 there was no concept of an antiseptic at all. If a piece of food fell off your plate, the advice of one contemporary document was to pick it up, make the sign of the cross over it, salt it well—and then eat it. The sign of the cross was, so to speak, the antiseptic of the year 1000. The person who dropped his food on the floor knew that he was taking some sort of risk when he picked it up and put it in his mouth, but he trusted in his faith. Today we have faith in modern medicine, though (1)few of us can claim much personal knowledge of how it actually works. (2)We also know that the ability to combat quite major illnesses can be affected by what we call “a positive state of mind”—what the Middle Ages experienced as “faith”.
From The Year 1000: What Life Was Like at the Turn of the First Millennium by Robert Lacey and Danny Danziger. Copyright © 1999 by Robert Lacey and Danny Danziger. Used by permission of Little, Brown and Company. All rights reserved.
【語句英和対訳(全体で押さえたい語句)】
英語(タップで発音)日本語意味
antiseptic消毒薬、防腐剤(名詞)
contemporary当時の、同時代の(※「現代の」と誤読しないよう注意)
the sign of the cross十字を切る行為、十字の印
so to speakいわば、言ってみれば
faith信仰、強い信頼
combat〜と闘う、〜に立ち向かう(他動詞)
the Middle Ages中世(※擬人化・換喩で「中世の人々」「中世において」と解釈)
【解き方のコツ(総論)】
  • 設問条件の徹底: 下線部(1)の「it が何を指すか明らかになるように訳す」という指示に従い、it = modern medicine(現代医学)を確実に補い、「それ」のままにしないこと[cite: 1]。
  • few の否定性: few は a few と異なり「ほとんど〜ない」という準否定。文末を否定形(〜する人はほとんどいない)で結ぶことが必須[cite: 1]。
  • 直訳からの脱却: claim ... knowledge は「知識を主張する」と直訳せず、「知識を十分に備えていると言える/自負できる」と解釈する[cite: 1]。
  • 比喩と主語の把握: (2)の主語は the ability to combat quite major illnesses 全体[cite: 1]。ダッシュ(—)以降は直前の「前向きな精神状態」を言い換える同格補足。the Middle Ages(中世)を主語に置く擬人化表現は、「中世の人々が〜した」または「中世において〜された」と整える[cite: 1]。
Sentence 1 ▲ TOP
【和訳】
実際、西暦1000年の頃には消毒薬という概念はまったく存在しなかった。
【英文(クリックで音読)】
Indeed, in the year 1000 there was no concept of an antiseptic at all.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
indeed実に、実際に、本当に
in the year 1000西暦1000年に
concept概念、観念
antiseptic消毒薬、防腐剤
at all(否定語と共用して)まったく、少しも
【詳細な文法・語法解説】

● there was no concept of 〜 at all: 存在構文に no 〜 at all(完全否定)が組み合わさった形。「〜という概念は微塵も存在しなかった」。of an antiseptic は同格的修飾で「消毒薬という概念」と訳すと自然です。

● in the year 1000 の発音と表記: 西暦年を明示する英語表現で、通常「one thousand」と読まれます。

Sentence 2 ▲ TOP
【和訳】
もし食べ物が皿から落ちた場合、当時のある文献が勧めていたのは、それを拾い上げ、その上で十字を切り、たっぷりと塩をふり、それから食べるということであった。
【英文(クリックで音読)】
If a piece of food fell off your plate, the advice of one contemporary document was to pick it up, make the sign of the cross over it, salt it well—and then eat it.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
fall off〜から転がり落ちる、外れる
contemporary当時の、同時代の(ここでは1000年時点を指す)
document文献、古文書、記録
make the sign of the cross十字を切る
salt〜に塩を振る(動詞)
【詳細な文法・語法解説】

● 構文の骨格: If S′ V′, the advice ... was to [V1, V2, V3—and then V4]. 主語 the advice に対する補語(C)として 4 つの動詞句(pick up, make, salt, eat)が並列されています。最後の eat の前にあるダッシュ(—)は、一連の処置の締めくくりを強調する働きを持ちます。

● contemporary の多義性: 過去の事象を語る文脈では必ず「当時の」と解釈します。

● salt(動詞): 名詞ではなく「塩を振る」という他動詞用法です。

Sentence 3 ▲ TOP
【和訳】
十字を切るという行為は、いわば西暦1000年における消毒薬だったのである。
【英文(クリックで音読)】
The sign of the cross was, so to speak, the antiseptic of the year 1000.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
the sign of the cross十字を切る行為
so to speakいわば、例えて言うなら(挿入句)
【詳細な文法・語法解説】

● 比喩の挿入語句: The sign of the cross was [so to speak] the antiseptic... という第2文型(SVC)。宗教的行為である「十字を切ること」を現代的な科学概念「消毒薬」に見立てるため、クッションとして so to speak(=as it were)が挿入されています。

Sentence 4 ▲ TOP
【和訳】
食べ物を床に落とした人は、それを拾って口に運ぶときにある種のリスクを冒していることは自覚していたが、自らの信仰を頼りにしていた。
【英文(クリックで音読)】
The person who dropped his food on the floor knew that he was taking some sort of risk when he picked it up and put it in his mouth, but he trusted in his faith.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
take a risk危険を冒す、リスクを取る
some sort of何らかの、ある種の
trust in〜を固く信じる、〜に頼る
【詳細な文法・語法解説】

● 構文把握: 主語は The person (who dropped his food on the floor) で関係代名詞節が修飾。動詞は knew [that 節] と trusted in his faith が等位接続詞 but で対比されています。

Sentence 5下線部(1) ▲ TOP
【和訳】
今日、私たちは現代医学に信頼を寄せているが、現代医学が実際にどのように作用しているかについて、自分自身で十分な知識を持っていると言える人は、私たちの間にはほとんどいない。
【英文(クリックで音読)】
Today we have faith in modern medicine, though (1)few of us can claim much personal knowledge of how it actually works.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
have faith in〜に信仰・信頼を寄せる
few of us私たちのうち〜する者はほとんどいない(準否定)
claim〜を(自負・確信を持って)主張する、持っていると言う
personal knowledge自分自身の知識、自力で備えた知識
work作用する、機能する、効き目を発揮する(自動詞)
【詳細な文法・語法解説】

● 接続詞 though の従属節: 主節 Today we have faith... に対する譲歩節[cite: 1]。

● it の指示対象: how it actually works の it は、直前の modern medicine(現代医学) を指しています[cite: 1]。設問の指示通り、「それ」ではなく具体的に訳出する必要があります[cite: 1]。

● claim much personal knowledge: claim は「知識を主張する」と直訳せず、「〜の知識を自ら十分に持っている/備えていると断言できる」のように文脈に適合させて表現します[cite: 1]。

Sentence 6下線部(2) ▲ TOP
【和訳】
また私たちは、かなり深刻な病気に立ち向かう力が、私たちが「前向きな精神状態」と呼ぶものに左右されうることも承知しているが、これは中世において「信仰」として体験されていたものである。
【英文(クリックで音読)】
(2)We also know that the ability to combat quite major illnesses can be affected by what we call “a positive state of mind”—what the Middle Ages experienced as “faith”.
【語句英和対訳(クリックで発音)】
英語(タップで発音)日本語意味
ability to do〜する力、能力
combat〜と闘う、〜に立ち向かう
quite majorかなり重い、深刻な
be affected by〜に影響される、左右される
what we callいわゆる、私たちが〜と呼ぶところのもの
the Middle Ages中世(換喩・擬人化)
experience A as BAをBとして体験・経験する
【詳細な文法・語法解説】

● that 節内の構造把握: 節内の主語は the ability to combat quite major illnesses[cite: 1]。述語動詞は can be affected by ...。

● ダッシュ(—)による同格・換言関係: ダッシュ以降の what the Middle Ages experienced as “faith” は、直前の a positive state of mind を歴史的視点から言い換えています[cite: 1]。

● the Middle Ages の擬人化表現の処理: 「中世」という時代主語を「中世の人々が〜として経験したこと」と補うか、「中世において〜として体験されたこと」と受動的に表現します[cite: 1]。

【下線部の答案ポイント】
下線部(1)few of us can claim much personal knowledge of how it actually works.
解答例: 現代医学が実際にどのように作用しているかについて、自分自身で十分な知識を持っていると言える人は、私たちの間にはほとんどいない。
採点基準・減点回避のポイント:
・指示代名詞の特定: it = modern medicine(現代医学)を明示すること。「それ」と訳すと大幅減点[cite: 1]。
・few の否定訳: 「少数は〜できる」と肯定的に捉えず、「〜する人はほとんどいない」と文全体を否定で着地させる。
・語句の文脈化: much personal knowledge を「多くの個人的知識」と直訳せず、「(自分自身で把握している)十分な/詳しい知識」と意訳する[cite: 1]。
・how it actually works: 「実際にどのように作用しているか/機能しているか」という間接疑問節を的確に反映する。
下線部(2)We also know that the ability to combat quite major illnesses can be affected by what we call “a positive state of mind”―what the Middle Ages experienced as “faith”.
解答例: また私たちは、かなり深刻な病気に立ち向かう力が、いわゆる「前向きな精神状態」に左右されうることも承知しているが、これは中世において「信仰」として体験されていたものである[cite: 1]。
採点基準・減点回避のポイント:
・主語の範囲確定: the ability (to combat quite major illnesses) をひとまとまりの主語として捉える(「かなり重い病気と闘う能力」)[cite: 1]。
・can be affected by: 「影響を受けうる/左右されることがある」という可能性・受動態の正確な処理。
・ダッシュ以下の同格性: 前向きな心の状態=中世の人々にとっての「信仰」という文脈上の等価関係を把握する[cite: 1]。
・時代主語(擬人化)の訳出: the Middle Ages experienced は直訳(中世が体験した)を避け、「中世の人々が〜として経験した」または「中世において〜として体験された」とこなれた日本語にする[cite: 1]。
典型的な失点パターン
・(1) で it を現代医学と特定せず「それ」のまま訳してしまう。
・(1) で few を「少しの人は〜できる」と肯定解釈してしまう。
・(2) で quite major を修飾関係を取り違えたり、訳し落とす。
・(2) で the Middle Ages を「中世が」と直訳し、日本語として不自然なまま放置する[cite: 1]。
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