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●京都大学 英語
英作文解説(1997年度・大問III)
出典:1997年度 京都大学前期入学試験英語 大問III(和文英訳)
※本解説はOBLECTOによる教材です。公式の採点基準ではありません。
(1)パリの空港で、トランクに腰掛けた一人の男が、ぼんやりと頬づえをついていた。私が「どうかなさいましたか、どこかお加減でも悪いんですか」と聞くと、「いや、いま遠くから着いたところなんですけどね、身体は着いても、心がまだなので、こころの到着を待っているところです」という答えがかえってきた。
(2)客を招いたら、まず住居のすべての部屋を案内してまわるのが、欧米の通例である。ドイツの友人宅でも、寝室から地下の作業室兼物置に至るまで案内されたが、どの部屋も清潔で整然としているのに圧倒された。以前その夫妻をわが家に招いたおり、もっぱら座敷に閉じ込め、他の部屋など見せるどころではなかったのだが、今思うとはずかしい気がする。
At an airport in Paris, a man sitting on his suitcase was resting his chin on his hand blankly. When I asked him, “Is something the matter? Are you feeling unwell?”, he replied, “No, I’ve just arrived from a long way off. Though my body has got here, my soul hasn’t yet. So I’m waiting for it to arrive.”
(訳)パリの空港で、トランクに座った一人の男が、ぼんやりと手で顎を支えていた。私が「どうしたのですか。具合でも悪いのですか」と尋ねると、彼は答えた。「いや、遠くから着いたばかりなのです。身体はここに着いたのですが、心はまだなのです。だから心が到着するのを待っているところです。」
When you invite guests, it is customary in Western countries to show them around every room of your house first. At my German friend’s house, I was shown around from the bedroom to the workshop-cum-storeroom in the basement, and I was overwhelmed to find every room clean and tidy. Looking back, I feel ashamed that when I invited the couple to my home before, I kept them only in the guest room, and showing them the other rooms was out of the question.
(訳)客を招く時、まず家のすべての部屋を案内して回るのが欧米の慣習である。ドイツの友人の家で、私は寝室から地下の作業室兼物置まで案内されたが、どの部屋も清潔で整頓されているのを知って圧倒された。今振り返ると、以前その夫妻を家に招いた時、彼らを座敷にばかり閉じ込め、他の部屋を見せるなど論外であったことを恥ずかしく思う。
※より平易な語彙・シンプルな文構造を使った解答例です。減点を避ける工夫がされています。
At Paris airport, a man was sitting on his bag and holding his cheek with his hand. I asked him, “What is wrong? Are you sick?” He answered, “No, I just came from a far place. My body is here, but my mind is not here yet. So I am waiting for my mind.”
(訳)パリの空港で、男がカバンに座り、手で頬を支えていた。私は「どうしたのですか。病気ですか」と聞いた。彼は答えた。「いや、遠い場所から来たばかりです。体はここにありますが、心はまだここにありません。だから心を待っているのです。」
In Western countries, when people welcome guests, they usually show them all the rooms in the house. When I visited my friend’s house in Germany, they showed me many rooms, from the bedroom to the storage room in the basement. I was surprised because every room was very clean and neat. I feel embarrassed now because when I invited them to my house before, I only let them stay in the Japanese-style living room and could not show them any other rooms.
(訳)欧米では、人々が客を迎える時、普通は家の中のすべての部屋を見せる。ドイツの友人の家を訪れた時、寝室から地下の物置まで、たくさんの部屋を見せてもらった。どの部屋もとても清潔で綺麗だったので驚いた。以前彼らを私の家に招いた時、和室の居間にしかいてもらえず、他の部屋を全く見せられなかったので、今となっては恥ずかしい。
①「頬づえをつく」の英訳
英語には直接対応する1語の動詞がないため、描写する必要があります。rest one’s chin on one’s hand(手の上に顎を乗せる)や hold one’s cheek with one’s hand(手で頬を支える)などが適切です。
②「ぼんやりと」の英訳
心ここにあらず、というニュアンスを出すために、副詞の blankly(うつろに)や absently(ぼんやりと)を使うと模範解答のような美しい英語になります。苦手な人は、この修飾語をあえて省いても大きな減点はされません。
①定番の会話フレーズ
「どうかなさいましたか」は Is something the matter? や What’s wrong? が定番です。
②「お加減でも悪いんですか」
相手の体調を気遣う表現として、Are you feeling unwell? や、よりシンプルな Are you sick? が使えます。
①「~という答えがかえってきた」の処理
日本語の語順に引きずられず、he replied, “…” や he answered, “…” と主語+動詞を前に出すのが自然な英語の書き方です。
②「身体は着いても、心がまだなので」の対比
Though my body has got here, my soul hasn’t yet. のように、接続詞 though や but を用いて鮮やかに対比させます。「心」は soul や mind で表現可能です。
③「心の到着を待っている」
wait for A to do(Aが~するのを待つ)の構文を使い、waiting for it to arrive とすると非常にスマートです。別解のようにシンプルに waiting for my mind としても十分に通じます。
①「~するのが通例である」の構文
It is customary to do(~するのが慣習である)を使うか、あるいは一般のひとを主語にして they usually do と表現します。
②「案内してまわる」
家の中を案内するときは、show A around という群動詞がぴったりです。すべての部屋は every room of your house と表します。
①「作業室兼物置」の工夫
「A兼B」はハイフンと cum(~を兼ねた)を用いて workshop-cum-storeroom と表現できます。これが難しい場合は、別解のように単純に storage room in the basement(地下の物置)のように主要な意味だけを切り取っても減点は僅かです。
②「~に圧倒された」
感情を表す受動態 be overwhelmed が最適です。驚きのニュアンスで be surprised や be impressed を代用することも可能です。
③「清潔で整然としている」
clean and tidy、あるいは clean and neat が決まり文句としてよく使われます。
①「今思うとはずかしい気がする」
文頭に Looking back(振り返ると)を置き、I feel ashamed that …(~を恥ずかしく思う)や I feel embarrassed を続けます。
②「もっぱら座敷に閉じ込め」の比喩の処理
「閉じ込める」を直訳して lock up などとすると監禁のようになってしまいます。ここは「その部屋だけにいてもらった」という意味なので、keep them only in the guest room や let them stay only in the living room と変換するのが英作文のコツです。
③「見せるどころではなかった」
「~なんてとんでもない、論外だ」という意味のイディオム out of the question を使うと綺麗に決まります。シンプルに「見せることができなかった(could not show them)」とするだけでも十分合格点に達します。
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| 単語・熟語 | 意味 | 使い方・例文 |
|---|---|---|
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rest A on B 熟語 |
AをBに乗せて支える |
He was resting his chin on his hand absently. 彼はぼんやりと頬杖をついていた。 |
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blankly 副詞 |
ぼんやりと、うつろに |
She stared blankly at the arrival board. 彼女は到着掲示板をぼんやりと見つめた。 |
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unwell 形容詞 |
気分が悪い、体調が良くない |
If you feel unwell, you should take a rest. もし気分が悪いなら、休んだほうがいい。 |
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from a long way off 熟語 |
遥か遠くから |
He traveled here from a long way off. 彼は遥か遠くからここへ旅してきた。 |
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customary 形容詞 |
習慣的な、通例の |
It is customary to exchange business cards in Japan. 日本では名刺を交換するのが通例である。 |
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show A around 熟語 |
Aに(家や場所を)案内して回る |
Please let me show you around our new office. 新しいオフィスをご案内させてください。 |
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cum 前置詞的接辞 |
~兼~(名詞を繋ぐ) |
This room is used as a study-cum-bedroom. この部屋は書斎兼寝室として使われている。 |
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overwhelmed 形容詞 |
圧倒された、感銘を受けた |
I was overwhelmed by the beauty of the scenery. 私はその景色の美しさに圧倒された。 |
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clean and tidy 成句 |
清潔で整然とした |
Her kitchen is always kept clean and tidy. 彼女の台所はいつも清潔で整然と保たれている。 |
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Looking back 分詞構文 |
振り返ってみると、今思うと |
Looking back, my college days were the best time of my life. 振り返ると、大学時代が人生で最高の時だった。 |
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ashamed 形容詞 |
恥ずかしく思う |
You don’t have to feel ashamed of making mistakes. 間違いをすることを恥ずかしく思う必要はない。 |
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out of the question 熟語 |
論外だ、不可能でするどころではない |
Buying a luxury car right now is out of the question. 今高級車を買うなんて論外だ。 |
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