「応用的なthere構文」を完全攻略
大学入試で必須となる修飾表現・倒置構文・慣用表現を徹底解説
まず全体のルールと全体像
there構文は本来「〜がある、〜がいる」という存在を表す基本構文(There is/are + 名詞)ですが、大学入試の長文読解・英作文では、この基本形を土台にした応用パターンが頻出します。大きく分けると、①be動詞の後ろの名詞を分詞・不定詞・関係代名詞節で修飾して情報を広げる形、②be動詞以外の自動詞(exist, remain, arise など)を用いて主語と動詞を倒置させる形、③seem・appearなどと結びついて推量・伝聞を表す形、④There is no -ing のような慣用表現の4つが、入試における「応用的なthere構文」の中心となります。
1) There is/are 構文を広げる修飾語(分詞・不定詞・関係詞節)
「There is/are + 名詞」は、その名詞の後ろにさまざまな修飾語を伴うことで、単なる存在の提示を超えた、詳しい情報を加える構文になります。この形は評論文・小説文どちらにも極めて頻繁に登場するため、修飾語の種類ごとに正確に読み取れるようにしておく必要があります。
「There is/are + 名詞 + 現在分詞(-ing)」で「〜している…がいる」という意味を表す。分詞は直前の名詞を後ろから修飾する形容詞的用法である。
名詞が「〜される」という受動の意味を持つ場合は過去分詞(p.p.)を用いる。分詞が単独の場合は名詞の直後に置かれ、後ろに語句を伴う場合も同様の語順を取る。
「There is/are + 名詞 + to do / to be done」で「〜すべき…がある」という意味になる。入試で頻出する定型表現:
・There is no time to lose.(ぐずぐずしている時間はない)
・There is nothing to worry about.(心配することは何もない)
・There is nothing left to say.(もう言うべきことは何も残っていない)
「There is/are + 名詞 + who/that/which + S+V」で「〜という…がいる/ある」という意味になる。関係代名詞節が長くなるほど、いったん名詞を提示してから詳しく説明するthere構文の利便性が発揮される。
2) There + 一般動詞 による倒置構文(存在・出現を表す自動詞)
there構文はbe動詞だけでなく、存在・出現・継続・移動を表す自動詞(exist, remain, arise, occur, come, live, stand, lie, follow など)とともに用いられ、「There + 動詞 + 主語」という倒置の語順を取ることがあります。この形は、新しい情報である主語を文の後半に置くという英語の情報構造(旧情報→新情報)の原則に従ったもので、評論文や物語文の書き出しに特に多く見られます。
remain(残っている)やexist(存在する)は「There + V + S」の形を取る代表的な自動詞である。主語(a serious problem to be solved)が長い新情報であるため文末に置かれ、動詞remainsの直後という倒置の語順になる。
arise(生じる)・occur(起こる)は「問題・事件・感情などが発生する」という意味で評論文・物語文に頻出する。同義的にThere occurred a strange incident in the town.(その町で奇妙な事件が起こった)のようにも用いる。
物語文の書き出しに頻出する形。There is/wasの代わりにlive・stand・lieのような具体的な自動詞を用いることで、より描写的な表現になる。
例:There stood a tall tower at the top of the hill.(丘の頂上に高い塔が立っていた)
注意:この倒置は主語が代名詞の場合には起こらない。「There he stood.(そこに彼は立っていた)」のような形は、存在を導入するthere構文ではなく、「そこに」という場所を表す副詞のthereであり区別が必要である。
3) There seem(s)/appear(s) to be ~(推量・伝聞のthere構文)
There is/are の部分がseem・appearなどの「〜のようだ」を表す動詞と組み合わさり、「There seem(s)/appear(s) to be ~」(〜があるようだ)という形で用いられます。これは、本来 It seems that there is ~ という構造の主語thereをそのまま文頭の主語として繰り上げた表現であり、大学入試の英作文・整序問題で頻出します。
There seems to be ~ = It seems that there is ~(〜があるようだ)。完了形の不定詞と組み合わせると、過去の内容についての推量を表せる:
There appears to have been a misunderstanding between them.(彼らの間には誤解があったようだ)
There is said to be ~ = It is said that there is ~(〜があると言われている)。sayの代わりにbelieved, thought, reportedなども同じ構造で用いられる。
4) 大学入試頻出の慣用的there構文
there構文には、決まった意味を持つ慣用表現も数多く存在します。特に英作文・語法問題で狙われる代表的なものを整理します。
| 表現 | 意味 | 入試頻出例 |
|---|---|---|
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There is no -ing
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〜することはできない(=It is impossible to do) |
There is no denying that he is talented.
彼が才能があることは否定できない。
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There is no point in -ing
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〜しても無駄だ |
There is no point in arguing with him.
彼と議論しても無駄だ。
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There is no need to do
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〜する必要はない |
There is no need to worry about the result.
結果を心配する必要はない。
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There is little doubt that ~
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〜であることはほとんど疑いない |
There is little doubt that the plan will succeed.
その計画が成功することはほとんど疑いない。
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There is a good chance that ~
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〜する可能性が高い |
There is a good chance that it will rain tomorrow.
明日は雨が降る可能性が高い。
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There is something + 形容詞 + about ~
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~にはどこか…なところがある |
There is something mysterious about her.
彼女にはどこか神秘的なところがある。
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There is nothing like ~
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~にまさるものはない |
There is nothing like a good night’s sleep.
十分な睡眠にまさるものはない。
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There used to be ~
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かつては〜があった(現在はない) |
There used to be an old cinema on this street.
この通りにはかつて古い映画館があった。
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There is much to be said for ~
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~には多くの利点がある、~にも一理ある |
There is much to be said for working from home.
在宅勤務には多くの利点がある。
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文法まとめ表
応用的なthere構文の4つのパターンを、構造と役割で比較整理しました。
| パターン | 構造 | 役割・意味 |
|---|---|---|
|
① 修飾語付加型
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There is/are + 名詞 + 分詞/不定詞/関係詞節 | 存在する名詞に説明を加える |
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② 一般動詞倒置型
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There + exist/remain/arise/occur/come/live/stand など + S | 新情報の主語を文末に置き、描写的に存在・出現を表す |
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③ 推量・伝聞型
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There seem(s)/appear(s) to be ~/There is said to be ~ | 存在についての推量・伝聞を表す |
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④ 慣用表現型
|
There is no -ing/There is no need to do など | 決まった意味を持つイディオムとして機能する |
語彙リスト(出現順)
本記事に登場した重要英単語・表現です。タップして音読練習に役立ててください。
| 番号 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 01 |
existential there
|
存在を表すthere |
| 02 |
locative there
|
場所を表すthere |
| 03 |
inversion
|
倒置 |
| 04 |
intransitive verb
|
自動詞 |
| 05 |
participle
|
分詞 |
| 06 |
infinitive
|
不定詞 |
| 07 |
relative clause
|
関係代名詞節 |
| 08 |
remain
|
残っている |
| 09 |
arise
|
生じる |
| 10 |
occur
|
起こる |
| 11 |
misunderstanding
|
誤解 |
| 12 |
denying
|
否定すること |
| 13 |
mysterious
|
神秘的な |
最後の確認
① There is/are の後ろの名詞は、分詞・不定詞・関係代名詞節によって詳しく修飾されることが多い。
② be動詞以外にも、exist, remain, arise, occur, come, live, stand, lie のような自動詞が there の後ろに続き、「There + 動詞 + 主語」という倒置の語順を取ることがある(主語が代名詞の場合はこの倒置は起こらない)。
③ There seems to be ~ や There is said to be ~ は、それぞれ推量・伝聞を表す構造である。
④ There is no -ing、There is no need to do などは、決まった意味を持つ慣用表現として丸ごと覚えておく必要がある。

