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●京都大学 英語
英作文解説(2000年度・大問III)
出典:2000年度(平成12年度)京都大学前期入学試験英語 大問III(和文英訳)
※本解説はOBLECTOによる教材です。公式の採点基準ではありません。
(1)あるとき私は幼児期を過ごした町を通る機会に恵まれた。記憶のなかの光景をたぐりよせながら、なんとかそれらしい場所まで来たが、自信がない。周囲の町並みは完全に変わってしまっていた。そこに建っていた家はいかにも新しく、30年前からそこにあったものとはとても思えなかった。
(2)「コンピュータは間違えません」という決まり文句があるが、それは要するに扱う人間の側が間違えることが多いということだ。相手が人間の場合、「あ、ここはこうするつもりが間違えたんだな」と推察してくれるかもしれないが、コンピュータはなかなかそうはいかない。コンピュータを疑う前にまず自分を疑え、特に初心者はこれを肝に銘じておいたほうがいいだろう。
Once I had an opportunity to pass through the town where I had spent my childhood. Raking up the memories of the old days, I managed to reach a place that looked like it, but I was not sure. The surrounding cityscape had completely changed. The house standing there looked so new that I could hardly believe it had been there for thirty years.
(訳)あるとき私は、自分の幼児期を過ごした町を通り過ぎる機会があった。昔の記憶をかき集めながら、私はなんとかそれらしい場所に行き着いたが、確信が持てなかった。周囲の町の景色は完全に変わってしまっていた。そこに建っている家はとても新しく見えたので、それが30年間もそこにあったとはほとんど信じられなかった。
There is a cliché that computers make no mistakes, which means, in short, that the humans who operate them often make mistakes. If you deal with a human being, they might guess that you made a mistake although you intended to do otherwise, but you cannot expect a computer to do so. You should doubt yourself before you doubt the computer; beginners especially should keep this in mind.
(訳)コンピュータは間違いを起こさないという決まり文句があるが、それは要するに、それらを操作する人間のほうがしばしば間違えるということを意味している。もし人間を相手にしているなら、別のことをするつもりだったのに間違えたのだろうと推測してくれるかもしれないが、コンピュータにそれを期待することはできない。コンピュータを疑う前に自分を疑うべきだ。特に初心者はこのことを心に留めておくのがよいだろう。
※より平易な語彙・構文を使った解答例です。減点を防ぎ、確実に部分点を狙える構成にしています。
Once I had a chance to visit the town where I lived when I was a child. Trying to remember the past, I could arrive at a place that seemed correct, but I was not sure. The streets around me had changed completely. The house there looked very new, and I could not believe that it had been there since thirty years ago.
(訳)あるとき、私は子供の頃に住んでいた町を訪れる機会があった。過去を思い出そうとしながら、正しいと思われる場所に到着することはできたが、自信がなかった。私の周りの通りは完全に変わっていた。そこにある家はとても新しく見え、それが30年前からそこにあったとは信じられなかった。
People often say that computers never make mistakes, but this means that people who use them often make mistakes. When you talk with a person, they may understand your real intention and think that you just made a mistake. However, computers do not do that. You should think that you are wrong before you think that the computer is wrong. Especially, beginners should remember this.
(訳)コンピュータは決して間違えないと人々はよく言うが、これはそれらを使う人々がしばしば間違えるということを意味する。人と話すとき、彼らはあなたの本当の意図を理解し、単に間違えただけだと考えてくれるかもしれない。しかし、コンピュータはそれをしない。コンピュータが間違っていると思う前に、自分が間違っていると思うべきだ。特に、初心者はこのことを覚えておくべきだ。
①「~する機会に恵まれた」の処理
「恵まれた」をそのまま直訳しようとすると不自然になりがちです。had an opportunity to do や had a chance to do を使って「〜する機会があった」と表現すれば、自然で十分な英訳になります。
②「幼児期」と時制の注意
「幼児期を過ごした」は「機会があった(過去形)」よりも前の出来事なので、過去完了形を用いて where I had spent my childhood とする形が最も正確です。苦手な人は、関係副詞を避けて where I lived when I was a child と簡潔に表現しても減点はされません。
①「記憶のなかの光景をたぐりよせながら」の比喩表現
「たぐりよせる」は記憶を呼び起こそうとする動作の比喩です。模範解答のように分詞構文を使い Raking up the memories(記憶をかき集める)とするか、シンプルに Trying to remember the past(過去を思い出そうとしながら)と意図を汲み取った言い換えを行いましょう。
②「なんとかそれらしい場所まで来たが、自信がない」
「なんとか〜する」には managed to reach がぴったりです。「それらしい場所」は a place that looked like it(それのように見える場所)や a place that seemed correct(正しいと思われる場所)とします。「自信がない」はシンプルに I was not sure で表現可能です。
①「町並み」の語彙
「町並み」は、町の景観を指す場合は cityscape、親しみやすい表現なら the streets などが適しています。
②「いかにも新しく、〜とはとても思えなかった」の構文
模範解答では so… that I could hardly believe ~(非常に…なので〜とはほとんど信じられなかった)という定番の重要構文に落とし込んでいます。別解のように、等位接続詞 and で文を2つに切り離し、looked very new, and I could not believe… と処理しても減点の対象にはなりません。
①「決まり文句」の訳
やや硬い表現として cliché(使い古された決まり文句)という単語が使えますが、思い浮かばない場合は People often say that…(人々はよく〜と言う)と主語を一般化して始める手法が安全です。
②「それは要するに〜ということだ」の繋ぎ方
模範解答では関係代名詞の非限定用法 , which means, in short, that… を使ってスマートに後ろから修飾しています。別解のように , but this means that… と前から2文に分けて繋いでも、意味が十分に伝わります。
①「こうするつもりが間違えたんだな」の英訳
会話的なニュアンスをそのまま英語にするのは難しいため、「本当の意図」を汲み取るという方向で意訳をします。intended to do otherwise(それ以外のことをするつもりだった)や、簡単に your real intention(あなたの本当の意図)と言い換えるのがポイントです。
②「なかなかそうはいかない」の処理
you cannot expect a computer to do so(コンピュータにそうすることを期待することはできない)という表現が論理的で綺麗です。さらに平易にするなら computers do not do that(コンピュータはそれをしない)で簡潔に切り抜けられます。
①「〜を疑う前にまず自分を疑え」の構造
日本語は命令形のように見えますが、一般的な教訓・アドバイスであるため、You should doubt yourself before you doubt the computer と助動詞 should を補って述べるのが自然です。
②「肝に銘じておいたほうがいい」の慣用表現
keep this in mind や bear this in mind(〜を心に留めておく)が最も適した熟語です。忘れてしまった場合は、単純に remember this(このことを覚えておく)としても間違いではありません。
※赤字の例文をクリックすると音読されます。
| 単語・熟語 | 意味 | 使い方・例文 |
|---|---|---|
|
opportunity 名詞 |
機会、好機(偶然・幸運な機会) |
I had an opportunity to pass through my old hometown. 私はかつての故郷の町を通り過ぎる機会があった。 |
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rake up 熟語 |
(過去の記憶などを)探し出す、かき集める |
She is raking up the memories of her childhood. 彼女は幼児期の記憶を呼び起こそうとかき集めている。 |
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manage to do 熟語 |
なんとか〜し遂げる、どうにか〜する |
I managed to reach the destination despite the heavy rain. 大雨にもかかわらず、私はなんとか目的地に到着した。 |
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cityscape 名詞 |
都市の景観、町並み |
The surrounding cityscape has completely changed over the years. 周囲の町並みは、年月を経て完全に変わってしまった。 |
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cliché 名詞 |
決まり文句、陳腐な表現 |
It has become a cliché that technology makes our lives simple. テクノロジーが生活を単純にするというのは決まり文句になっている。 |
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in short 熟語 |
要するに、手短に言えば |
The plan, in short, was a complete failure. その計画は、要するに完全な失敗だった。 |
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operate 動詞 |
(機械などを)操作する、扱う |
Humans who operate computers often make mistakes. コンピュータを操作する人間は、しばしば間違いを犯す。 |
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deal with 熟語 |
(人・問題を)相手にする、対処する |
When you deal with a human being, they try to understand you. 人間を相手にするとき、彼らはあなたを理解しようとしてくれる。 |
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intend to do 熟語 |
〜するつもりである、意図する |
I intended to do otherwise, but I made a mistake. 別のことをするつもりだったのだが、間違えてしまった。 |
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otherwise 副詞 |
それとは違った風に、別のやり方で |
He claimed otherwise, but no one believed him. 彼はそれとは異なる主張をしたが、誰も信じなかった。 |
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expect A to do 構文 |
Aが〜することを期待する、予期する |
You cannot expect a computer to guess your real intention. コンピュータがあなたの本当の意図を推察することを期待してはならない。 |
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keep … in mind 熟語 |
〜を肝に銘じる、心に留めておく |
Beginners should keep this in mind when using new tools. 初心者は新しい道具を使うとき、このことを肝に銘じるべきだ。 |
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