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●京都大学 英語
英作文解説(1984年度・大問Ⅲ)
出典:1984年度(昭和59年度)京都大学前期入学試験英語 大問Ⅲ(和文英訳)
※本解説はOBLECTOによる教材です。公式の採点基準ではありません。
(1)ひとはしばしば、日常生活のわずらわしいしきたりや拘束をのがれて一人でふとどこか遠いところへ行ってしまいたくなる。が、実際にそれができる人はきわめて少ない。ほとんどの場合、ただそうしたいと心に思うだけで実行はできず、したがって思いだけがつのるようになる。
(2)きものはずいぶん長持ちのするもので、洋服にくらべると得である。むろん損得だけで着るものを選ぶわけではないが、私は父のきものを今でも着ている。かれこれ四十年も前のもので、それが、今着てもちっともおかしくないのは、洋服では考えられないことである。
(訳)人はしばしば、日常生活のわずらわしいしきたりや拘束を逃れて、一人でふとどこか遠いところへ行ってしまいたくなる。しかし、実際にそうできる人はきわめて少ない。ほとんどの場合、ただそうしたいと心に思うだけで実行はできず、それゆえに彼らの欲望はますます強くなっていく。
(訳)着物は非常に長持ちするもので、洋服よりも経済的(得)である。もちろん、私たちは費用(損得)だけで着るものを選ぶわけではないが、私は今でも父の着物を着ている。それはおよそ40年も前のものであり、それが今日着ても全く奇妙に見えないということは、洋服では想像もできないことだ。
※より平易な語彙・構文を使った解答例です。文法ミスを防ぐシンプルな構造にしています。
(訳)私たちはしばしば、面倒な日常生活やルールを離れて、突然一人で遠い場所へ行きたくなる。しかし、本当にそれができる人はほとんどいない。たいていの場合、私たちはそう思うだけで行うことができないので、ますますそうしたくなる。
(訳)着物は長い間使うことができるので、洋服よりも良い(得だ)。もちろん、私たちは金銭のためだけに服を選ぶわけではない。しかし、私は今でも父の着物を着ている。それは約40年前のものだ。それを今着ることは全くおかしくない。これは洋服にとっては不可能なことだ。
①「ふとしたくなる」の表現
「ふと〜したくなる」は、突然湧き上がる欲求を表すため、模範解答では feel a sudden desire to do を使用しています。英語が苦手な場合は、シンプルに suddenly want to do(突然〜したくなる)とするのが最も簡単で確実です。
②「しきたりや拘束」の語彙
「しきたり」は社会的な習慣を指すので customs や rules、「拘束」は人を縛るものを指すので restrictions(制限)や ties(縛り)が適しています。「わずらわしい」は annoying や troublesome で表現できます。
③「のがれて」の構造
場所や状況から抜け出すニュアンスの escape from ~ がぴったりです。苦手な人は、単に「〜を離れて」と考えて leave ~ と動詞を並べるだけでも十分に意味が通じます。
①「きわめて少ない」の主語設定
「〜な人はきわめて少ない」を直訳して People who can do so are very few. としても間違いではありませんが、very few people can actually do so のように few を形容詞として主語に絡める形が英語らしくてスッキリします。
②「それができる」の代名詞
前述の「遠くへ行くこと」全体を指すため、do so や do it で受けるのが適切です。
①「実行する」のコロケーション
「実行する」は慣用表現の put it into practice(実行に移す)が最適です。難しい場合は do it(それを行う)や act(行動する)と言い換えても減点されません。
②「したがって」の接続
因果関係を示すため、模範解答では so、少し硬くするなら therefore を使います。
③「思いだけがつのる」のブレイクダウン
「思いがつのる」を直訳しようとすると悩みますが、「気持ち(欲望)がどんどん強くなる」と考えれば、desire grows stronger や want to do it more and more という中学英語の組み合わせで完璧に表現できます。
①「長持ちする」の動詞
「長持ちする」は動詞の last を使って last for a long time と表すのが最も自然です。状態として表すなら can be used for a long time としても良いでしょう。なお、Kimonoは単複同形として扱うことが多いです。
②「得である」の解釈
ここでの「得」は金銭的・経済的なメリットを意味するので、economical(経済的な)がもっとも洗練されています。シンプルに「洋服より良い」と考えて better than Western clothes としても十分に通じます。
①「損得だけで〜するわけではない」の部分否定
「すべて価格(損得)に基づいて選ぶわけではない」という意味にするため、not … based entirely on cost という部分否定を作ります。苦手な人は「お金のためだけに選ぶわけではない」と噛み砕き、not choose clothes only for money とすると楽に書けます。
②「父のきもの」の所有表現
my father’s kimono で問題ありません。「今でも」の still を動詞の前に配置し忘れないようにしましょう。
①長い主語の処理
「〜がちっともおかしくないのは(こと)は、…である」という構造をどう処理するかが鍵です。模範解答は the fact that … is something unimaginable と同格のthatを用いて大きな主語を作っています。
②別解による文の分割(苦手な人向け推奨)
上記のような複雑な構文が浮かばない場合は、文を細かく区切るのが鉄則です。「それは40年前のものだ。It is about forty years old.」「それを今着てもおかしくない。It is not strange at all to wear it now.」「これは洋服では無理だ。This is impossible for Western clothes.」と3つに分ければ、関係代名詞すら使わずに安全に生還できます。
③「ちっとも〜ない」の強調
否定文の末尾に at all をつけることで、「少しも(ちっとも)〜ない」を綺麗に表現できます。
※赤字の例文をクリックすると音読されます。
| 単語・熟語 | 意味 | 使い方・例文 |
|---|---|---|
|
escape from ~ 熟語 |
~から逃れる、脱出する |
He wanted to escape from his busy daily life. 彼は忙しい日常生活から逃れたかった。 |
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restriction 名詞 |
拘束、制限、規則 |
There are many restrictions in our society. 私たちの社会には多くの拘束(制限)がある。 |
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by oneself 熟語 |
一人で、単独で(=alone) |
She decided to travel to Europe by herself. 彼女は一人でヨーロッパへ旅行することに決めた。 |
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very few + 名詞 形容詞用法 |
〜な人はほとんどいない(極めて少ない) |
Very few students could answer the difficult question. その難しい質問に答えられる生徒は極めて少なかった。 |
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put ~ into practice 熟語 |
~を実行に移す、実践する |
It is difficult to put a good plan into practice. 良い計画を実行に移すのは難しい。 |
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last 動詞 |
(物が)長持ちする、続く |
These boots are strong and will last for years. このブーツは丈夫なので何年も長持ちするだろう。 |
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economical 形容詞 |
経済的な、無駄のない、得な |
Buying a small car is more economical. 小さな車を買うほうがより経済的(得)だ。 |
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entirely 副詞 |
完全に、まったく |
I do not entirely agree with your opinion. 私はあなたの意見に全面的に(完全に)同意するわけではない。 |
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unimagined / unimaginable 形容詞 |
想像もできない、考えられない |
The technology brought about unimaginable changes. その技術は想像もできない変化をもたらした。 |
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not ~ at all 構文 |
ちっとも〜ない、全く〜ない |
The old house did not look strange at all. その古い家はちっともおかしく見えなかった。 |
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