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●京都大学 英語
英作文解説(1988年度・大問Ⅲ)
出典:1988年度(昭和63年度)京都大学前期入学試験英語 大問Ⅲ(和文英訳)
※本解説はOBLECTOによる教材です。公式の採点基準ではありません。
(1)今の世では、自然の季節に人工的な修飾がほどこされている。私たちの周囲では花が季節に先立って咲き、以前は季節季節にかぎられていた野菜や果物がいつでも食卓を飾っている。季節感のそがれる世の中である。
(2)大人になるためには、何かを断念しなくてはならない。単純なあきらめは個人の成長を阻むだけだが、人間は自分の限界を知る必要がある。単純なあきらめと異なり、大人になるための断念は、深い自己肯定感にもとづいている。
In today’s world, natural seasons are artificially modified. Around us, flowers bloom ahead of their season, and vegetables and fruits that used to be restricted to specific seasons now grace our tables at any time of the year. We live in an age where our sense of the seasons is fading away.
(訳)今の世では、自然の季節に人工的な修飾がほどこされている。私たちの周囲では花が季節に先立って咲き、以前は特定の季節にかぎられていた野菜や果物が今ではいつでも私たちの食卓を飾っている。私たちは季節感が薄れつつある時代に生きているのだ。
To become an adult, one must give up something. While mere resignation only hinders personal growth, humans need to know their own limitations. Unlike mere resignation, the act of giving things up to reach adulthood is based on a deep sense of self-acceptance.
(訳)大人になるためには、人は何かを断念しなくてはならない。単なるあきらめは個人の成長を阻むだけであるが、人間は自分自身の限界を知る必要がある。単なるあきらめと違って、大人になるための断念は、深い自己肯定感に基づいているのである。
※より平易な語彙・構文を使った解答例です。減点を防ぎ、手堅く得点するための表現を選んでいます。
Today, the natural seasons are changed by human hands. Flowers bloom before their usual season around us. Also, we can eat vegetables and fruits at any time, though they were seen only in special seasons in the past. In this way, people are losing their feel for the seasons.
(訳)今日、自然の季節は人の手によって変えられている。私たちの周りでは、花が普段の季節の前に咲く。また、昔は特別な季節にしか見られなかったのに、今ではいつでも野菜や果物を食べることができる。このようにして、人々は季節に対する感覚を失いつつある。
If you want to grow up, you have to give up something. Giving up easily just stops a person from growing, but we must know what we can and cannot do. A mature way of giving up is different from just quitting; it comes from a strong belief in yourself.
(訳)もし大人になりたいのなら、何かをあきらめなければならない。簡単に諦めることは人の成長を止めるだけだが、私たちは自分ができることとできないことを知らねばならない。大人のあきらめ方は単に辞めることとは違っており、自分自身を強く信じることから生まれる。
①「人工的な修飾がほどこされている」の意訳
直訳しようとすると難解ですが、「人の手によって変えられている」と言い換えるのが得策です。模範解答では are artificially modified(人工的に修正されている)とスマートに受動態でまとめています。
苦手な人は、別解のように are changed by human hands(人間の手によって変えられている)と書けば、シンプルかつ正確にニュアンスを伝えられます。
②「今の世では」
In today’s world や、単に Today で十分です。
①「季節に先立って」の表現
ahead of their season(本来の季節より先に)という表現がぴったりです。より簡単に表現するなら before their usual season(通常の季節の前に)でも問題ありません。
②「以前は季節季節にかぎられていた」の関係代名詞節
野菜や果物を先行詞にして、関係代名詞で説明します。模範解答は that used to be restricted to specific seasons(かつて特定の季節に制限されていた)と表現しています。used to do(かつて~だった)を使うと「以前は」の対比が際立ちます。
別解では構文を分割し、though they were seen only in special seasons in the past(過去には特別な季節にしか見られなかったけれども)と接続詞を用いて処理しています。
③「食卓を飾っている」の比喩の処理
日本語の「食卓を飾る」は、「いつでも食卓に出る」「いつでも食べられる」という意味です。模範解答では grace our tables at any time(私たちの食卓を引き立たせる)と比喩を活かしていますが、苦手ならシンプルに we can eat … at any time と「私たちはいつでも食べられる」と言い換えるのが最も安全です。
①「季節感」の英語表現
英語には「季節感」という一語の名詞がないため、our sense of the seasons(季節に対する感覚)や feel for the seasons のように表現します。
②「そがれる世の中である」の構文
「私たちは~な時代(世界)に生きている」という形に変形すると英語にしやすくなります。模範解答では関係副詞を用いて We live in an age where our sense of the seasons is fading away.(季節感が消え去りつつある時代に生きている)としています。別解のように In this way, people are losing their feel for the seasons.(このようにして、人々は季節感を失っている)と因果関係でまとめても減点されません。
①主語の選択
日本語には主語がありませんが、一般論なので模範解答では one(人は誰でも)を主語にしています。口語的・平易にするなら別解のように you を主語にするか、あるいは people を使うと書きやすくなります。
②「断念する」の動詞
難しい単語(renounceなど)を使わなくても、中学熟語の give up で「断念する」「あきらめる」の意味を完全にカバーできます。
①「単純なあきらめ」と「断念」の訳し分け
この文章の核心は「悪いあきらめ」と「良いあきらめ」の対比です。模範解答では、単なるあきらめを mere resignation(単なる諦念)と表現しています。別解ではシンプルに Giving up easily(簡単に諦めること)としています。
②「個人の成長を阻む」
「阻む」は hinder や prevent が適しています。苦手な人は、成長を「止める」と考えて stops a person from growing と動詞句で表現すると間違いがありません。
③「自分の限界」
one’s own limitations がベストですが、別解のように what we can and cannot do(私たちができることとできないこと)と具体化するのも非常に賢い英作テクニックです。
①「~と異なり」
Unlike ~ を文頭に置く形が最もすっきりします。別解のように is different from ~ を動詞として使っても表現可能です。
②「大人になるための断念」の処理
模範解答では the act of giving things up to reach adulthood(成人期に達するために物事を諦める行為)と丁寧につないでいます。別解では A mature way of giving up(成熟したあきらめ方)と表現し、文脈上の意味を明快に伝えています。
③「自己肯定感」の英訳
現代的で難しそうな言葉ですが、self-acceptance(自己受容)や self-esteem(自尊心)がぴったりです。これらが出ない場合は、別解のように a strong belief in yourself(自分自身への強い信頼)と言い換えることで、採点官に確実に意図が伝わります。
※赤字の例文をクリックすると音読されます。
| 単語・熟語 | 意味 | 使い方・例文 |
|---|---|---|
|
artificially 副詞 |
人工的に |
The room was filled with artificially produced light. その部屋は人工的に作られた光で満たされていた。 |
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modify 動詞 |
(部分的に)修正する、作り変える |
We have to modify our plans to fit the new situation. 新しい状況に合わせて計画を修正しなければならない。 |
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ahead of ~ 熟語 |
~に先立って、~より早く |
The project was completed ahead of schedule. プロジェクトは予定より早く完了した。 |
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restrict A to B 構文 |
AをBに制限する、限る |
Membership is restricted to students only. 会員資格は学生のみに制限されている。 |
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grace 動詞 |
(食卓や場所を)飾る、優雅にする |
Beautiful paintings graced the walls of the room. 美しい絵画が部屋の壁を飾っていた。 |
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fade away 熟語 |
(色が)あせる、(感覚が)消え去る |
The sound of the music slowly faded away into the night. 音楽の音は夜の中にゆっくりと消え去っていった。 |
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mere 形容詞 |
単なる、ほんの |
It is a mere rumor, so you don’t need to worry. それは単なる噂だから、心配する必要はない。 |
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resignation 名詞 |
あきらめ、諦念、辞職 |
He accepted the bad news with a sigh of resignation. 彼はあきらめの溜息とともにその悪い知らせを受け入れた。 |
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hinder 動詞 |
~を阻む、邪魔する |
Heavy snow hindered the rescue efforts. 大雪が救助活動を阻んだ。 |
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limitation 名詞 |
限界、制限 |
We must recognize the limitations of our financial resources. 私たちは財政的資源の限界を認識しなければならない。 |
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unlike ~ 前置詞 |
~と違って、~とは異なり |
Unlike his brother, he loves outdoor activities. 兄とは違って、彼はアウトドア活動が大好きだ。 |
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self-acceptance 名詞 |
自己肯定感、自己受容 |
True happiness begins with self-acceptance. 真の幸福は自己受容から始まる。 |
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